私が季節の移ろいを感じるのは畑と食卓。長きにわたる寒い寒い日々の末、3月の卒業式の頃には信州の方言で「上雪(かみゆき)」と呼ばれる湿った重い雪が降り、最後の力を振り絞るかのように寒気が活躍します。それゆえ、信州では春の芽吹きへの喜びはひとしお。梅と桜が同時にほころび、庭では蕗の薹が頭を出し、畑では柔らかそうなナズナが陽光を浴びています。



茹でて鰹節をのせて「お醤油をかけてどうぞ」と供されることの多いナズナ。かねてから醤油の味の強さに違和感を抱いていたので、薄い醤油味の出汁に漬けてみました。ムムム、美味!私の早春の定番となりそうです。

やがて黄色やオレンジ色の花を咲かせるかんぞう。葉の形を鶏のトサカに見立てて、別名「とてこっこ」と呼ばれます。クセはないけど少々粘り気があって美味。でも、1度に大量に食べるとお腹がゆるくなる場合があるそう。野のものは適量摂取が大切ですね。

裏畑 何も作らず 蕗の薹 山口青邨