旧暦でお祝いしていた雛まつりを受け継いで、信州では(旧暦の3月3日頃にあたる)4月3日に雛まつりを祝います。調べてみれば、これは長野県、山梨県、埼玉県あたりだけの風習のよう。弥生3月が到来すると、千歳屋ではあちらこちらに雛飾りを飾ります。

雛祭りは別名「桃の節句」。現在の3月3日では花が咲くどころか、まだ零下の世界です❄春の訪れに胸弾ませ、自然崇拝と家族の安全を結びつけて祈願してきた日本人を顧みると、旧暦の雛祭りは理にかなっているような気がします。

理屈はさておき、昔からの風習を守るべく、私は4月3日雛祭り㊗️堅持派!しかしながら、ひなあられや菱餅は2月から店頭に並び、3月3日のスーパーマーケットの魚売り場では蛤や海老、イクラが輝きます。「お友達の家はみんな、今夜ちらし寿司だってよぉ」と騒ぐ子どもたち…。
私は松本で地元の「魚万汲田」という食料品店を愛用しています。家族経営をご近所のパートさん達が支える小規模なお店です。4月1日、汲田の売り場にひなあられを見つけました。売れ残りには非ず、この地の暮らしが分かっておられる証。3月3日の雛まつりを喧伝しているのは県内の大手スーパーマーケットチェーンや、県外資本のスーパーマーケットでした。

これは、敢えて大袈裟な言い方をするならば「大手資本や外資による地元文化・風習破壊」。雛飾りを片づけながら、気がつかないうちに変容している私たちの暮らしを想うのでした。

